フィブリノゲンは主に肝臓で生成され、健康人の血漿成分の1dl中に、通常、200ないし400mg含まれているところ、このフィブリノゲンの濃度が低下する病態を低フィブリノゲン血症といい、概ね血液中の血漿成分の1dl当たり100mg以下になると、重篤な出血傾向を来たし得る。
先天性の欠乏症として、無フィブリノゲン血症、狭義の低フィブリノゲン血症、異常フィブリノゲン血症などがあり、後天性の欠乏症としては、DIC(播種性血管内凝固症候群)、産後の大出血や重傷外傷に起因して血漿中のフィブリノゲン濃度が低下する場合などがある。
産科臨床上、低フィブリノゲン血症が出現する主な疾患は、常位胎盤早期剥離、子宮内死亡胎児の長期残留、羊水塞栓、子宮破裂、流産時の子宮内容除去術、子宮外妊娠中絶、帝王切開術、胎盤用手剥離術、異型血輸血時、前置胎盤などであり、最も多いものは常位胎盤早期剥離、子宮内死亡胎児の長期残留、羊水塞栓である。
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