止血は血管損傷に際して血液が血管外へ失われるのを防ぐ重要な生体防衛反応であり、人体の止血機序は次のとおりである。
(ア) 血管が損傷し出血すると、まず、局所の血管収縮が生じ、流血中の血小板が血管壁に露出した内皮下組織に速やかに粘着、凝集して血小板血栓(一次止血栓)を形成する(一次止血)。
(イ) 次いで、血液が組織液と混ざり合うことにより、血中に含まれる凝固因子が活性化される。一つの因子が活性化されるとその因子が酵素となって次の因子を基質として活性化させる反応が連鎖的に進むことにより、トロンビンが大量に生成されると、トロンビンが血小板をさらに強力に凝集させると同時に、血液凝固因子の一つであるフィブリノゲンをフィブリンに転換させる(血液凝固反応)。フィブリン同士が結合してフィブリン網を形成すると、フィブリン網が一次止血栓を取り巻いて補強、維持し(二次止血栓の形成)、止血を完了する(二次止血)。
(ウ) 最後に、形成された止血栓は、血管損傷の修復とともに数日後には線維素溶解現象により融解、吸収される。
(平成22年(ワ)第44040号、平成23年(ワ)第910号、同第17717号
各損害賠償請求事件
平成24年(ワ)第5680号 薬害C型肝炎被害者救済請求事件)
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