C型肝炎ウイルス(HCV)は、直径約55~57nmの二重構造を持つ単鎖RNA型ウイルスである。1970年代初頭(昭和45年以降)に、輸血後肝炎のなかにA型でもB型でもない肝炎(非A非B型肝炎)が存在することが明らかになり、1988年(昭和63年)、米国において血液伝播性非A非B型肝炎ウイルス遺伝子の一部が分離・同定され、C型肝炎ウイルスと名付けられた。
通常、C型肝炎ウイルスに感染すると、1週間ないし3週間後に血清中にHCV-RNAが出現し、15日から150日間の潜伏期間を経て肝細胞障害(急性肝炎)を発症する。急性肝炎の症状(全身倦怠感、食欲不振、悪心、黄疸など)や臨床検査値は比較的軽度なものが多いものの、急性肝炎の症例は、高率(約70%)に慢性化する。一旦慢性化すると、ウイルスが自然消失することはきわめて稀(年率0.2%)であり、肝炎の持続により肝の線維化が緩徐に進行し、一般的に20年から30年の経過で慢性肝炎から肝硬変に、さらに10年の経過により肝細胞癌へと進展するとされている。
(平成22年(ワ)第44040号、平成23年(ワ)第910号、同第17717号
各損害賠償請求事件
平成24年(ワ)第5680号 薬害C型肝炎被害者救済請求事件)
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